豊郷小学校 建築編 2009/07/19

1937年(昭和12年)に建てられたこの小学校は旧中山道沿いにあり、当時としては珍しい鉄筋コンクリート造です。 伊藤忠兵衛商店専務の古川鉄次郎が多額の私財を投じて建てられた学校です。設計はヴォーリズ建築事務所(近江兄弟社)に設計を委託、施工は竹中工務店でした。

教育に重きを置いた思いを持った方の熱意により、潤沢な資金で建設されたこの学校をじっくり見てみたいと思います。
正門からの外観です。中央部は3階建てで、その両側に2階建ての教室群が配置されています。両翼には左に図書館、右に講堂があり、ディティール(細部)は若干異なるもののシンメトリー(左右対称)の配置となります。したの写真、(模型)を見ていただければよくわかると思います。

1.図書館
 
外観は中央に入り口を配し、図書館単体でも左右対称のデザインとなっている。
中央部は吹き抜けとなっており、読書のための採光を確保しています。古い建物はどうしても薄暗い印象を持ちがちですが、見事に明るい空間を演出しています。
当時の強度の低いコンクリートで安全を確保するには柱を多くするしかなかったでしょうね。
梁も両端部を大きくして強度を確保しています。
一般には直線的にハンチを付けるのですが、
階段状にしてデザインされているところが見事です。照明器具もオリジナルの物(特注品)とか。

2.講堂  
正面向かって右にあるのが講堂です。先ほどの図書館に比べて出入り口の開口が大きくなっています。
これは、講堂の用途からわかるように、同時に大勢の人が出入りすることがあるためです。
写真では分かりにくいかもしれませんが、後ろの方が高くなっています。
講堂兼体育館しか知らない私にとっては講堂専用に建てられたこの建物がとても贅沢に思えました。
採光及び通風を確保するための窓はロープと鉄製のアームで開閉できるメカニカルな物。
それが並んでいると壮観に感じますね。
2階席に上がるための階段です。
段板に等には木材を使用していますが、基本構造はRC(鉄筋コンクリート)です。
交錯する梁に造形美を感じますね。

3.本館  
直線的に続く廊下だが、なぜか不思議な落ち着きを感じてしまう。木製の床と教室との間仕切り壁の建具が木製であるためだろうか?
通風のため、開口面積を稼ぐのが目的だろうか、引き違い戸ではなく押し出し窓になっている。それとも設計者が外人であるため、引き違い戸の概念がないからだろうか
来客の為の応接室なんでしょうね。2階に貴賓室と名付けられた部屋がありました。
他の部屋とは少々造りが違います。
ドアの可動範囲を示す黄色い線、改修工事などで床を張り替えた部分は一部消えていましたが、ほとんどのドアにこの線がありました。
この中に邪魔になる物を置かないようにとかいった警告でしょうかね。
児童たちのエントランスは校舎の端にありました。上部に天窓が設置され、暗くならないよう配慮されています。

この学校の階段の手すりにはウサギとカメのブロンズ像があります。
手すりを滑り台代わりにしないよう障害物を設けるのが主な目的かと思いますが、装飾的にも面白く、また、下から順番に見ていくと物語性もあり、奥が深いです。
スタートラインに立つウサギとカメ→油断して途中で昼寝をしてしまうウサギ→
確実に一歩ずつ進む亀→最後に勝利する亀。
もちろん学業も毎日コツコツ積み重ねることが大切ですよね。
手すりには開放感を出すためか、採光&通風のためか鋳物製の飾りを付けた窓があります。
住宅に応用しても面白そうですね。
踊り場角は丸くなっています。
これは角に柱が四角く出てしまうと掃除がしにくく、また、視覚的にも邪魔なので、大きく弧を描いて柱を隠してしまう方法です。
グラウンドを挟んだ裏側に新校舎がありました。
以上でこのレポートは終了ですが、今の学校建築にない暖かさを感じました。もちろん予算的な問題もありますが、最近の学校建築は何か素っ気ないですね。卒業生の皆さんが、一生懸命保存しようとしたその気持ちわかるような気がします。
私の卒業した学校(中学校)も木造校舎が残っていましたが、今ではすべて建て替えられ、無機質な学校になってしまいました。過去は市内でも成績も優秀な学校として有名でしたが、今では荒れてしまいました。
学校建築と子供たちの心理、関係者の皆様には今一度考えてもらいたい課題ですね。

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